変形性膝関節症の痛みの原因は??① 〜軟骨下骨の痛み〜

今回は『変形性膝関節の痛みの原因』について考えてみたいと思います。

変形性膝関節症とは膝が変形しているため痛みが出る!というイメージの方が多いと思います。

実際にその通りで軟骨が減り、関節が変形していき痛みが出てきます。

では

・なぜ骨が変形すると膝が痛くなるのか?

・何が痛みを出しているのか?

を考えていきたいと思います。

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1.変形性膝関節症の痛みは軟骨??

よく『変形性膝関節症は軟骨がすり減るので痛い』というふうに聞きます。

では変形性膝関節は軟骨から生じる痛みなのでしょうか??

まず軟骨には感覚神経がないとされています!

そのため軟骨から痛みは感じないのです!!

これは髪の毛と一緒です。

髪の毛は毛根には神経がありますが、毛の部分は神経がありません。

そのため、毛を引っ張られると毛根の神経に刺激が入るため痛みを感じますが

毛の部分は踏まれても摘んでも痛くないのです。

感覚神経がないおかげで髪の毛に熱々のアイロンでセットもできますが、

もし毛の部分にも感覚神経があると、、、恐ろしいですね。笑

軟骨もこれと同様で感覚の神経がないため痛みを感じないはずなのです!

ではなぜ変形性関節症では痛みが出るのでしょうか?

軟骨以外で膝を構成する組織として

・滑膜

・軟骨下骨

・骨膜

・靭帯

・半月板

・腱

・筋肉

があります。

これらの組織には先ほどの軟骨とは違い

感覚神経が存在しているため痛みを出す原因として考えられます。

この中でも軟骨下骨滑膜が変形性膝関節症の痛みの原因となるとされています。

今回は軟骨下骨から痛みがなぜ出るのかを解説したいと思います!

2.軟骨下骨ってなに??

軟骨とは骨の表面にあるツルツルの骨です。

その軟骨の下にある骨を軟骨下骨と言います。

ここで重要なのは

膝の骨が変形している人でも痛みが出る人もいれば出ない人もいます!

研究で変形性膝関節症で手術した人と同じ軟骨の変性を認めるが痛みのなかった人との違いを比べたところ、痛みがあり手術した人の膝は、軟骨下骨の破骨細胞活性、骨軟骨移行部の神経血管が通る孔であるosteochondral channels内の感覚神経、経成長因子(NGF)がより増加していることが明らかになっています。

Aso K, Arthritis Rheumatod 2019:71(6):916-24 Aso K. Osteoarthritls Cartilage 2020;28(9):1245-54,

簡単にいうと

膝の骨が変形していて痛みがある場合と無症状の場合があり、痛みがある人は軟骨下骨の部分で無症状の人とは違う変化が起こっている

ということです。

3.軟骨下骨の痛みがでる機序

  1. 軟骨下骨と軟骨があり、osteochondral channelsと呼ばれる神経血管が通る孔が骨軟骨移行部に存在する
  2. 骨の変形が進むと、軟骨が減りosteochondral channelsが軟骨内に進入していくと同時に神経が増加する
  3. さらに変形が進行し軟骨下骨が露出する。露出したchannels内の神経が刺激され痛みを感じる。

という機序になります。

この状態はレントゲンでは確認できないですが

MRIでは軟骨下骨の変化を確認することができます。

MRIではその部位が骨髄浮腫といて認められます。

この骨髄浮腫は荷重時痛と関係が強いです。

この骨髄浮腫が起こっていて軟骨下骨が露出している部分に体重がかかると痛みが強く出るため

治療はこの部分にかかる荷重(体重)を減らすことが重要になります。

・インソール(靴じき)で体重のかかる部分をずらす

・杖などを使って膝にかかる負担を減らす

・手術で体重のかかる部分を変える

などの手段が効果的とされています。

4.まとめ

今回は変形性膝関節症の痛みについて解説しました。

『変形性膝関節症は骨が変形することで痛みを生じる』と思われている方が多いと思います。

ただ骨が変形していても痛みがない人も実際にはたくさんいらっしゃいます!!

この痛みの原因の1つが今回紹介した軟骨下骨なのです!

ただまだなぜこのような変化が起こってしまうのかなどの詳細な原因はわかっていないのが現状です。

しかし軟骨下骨が痛みの原因の場合の治療は先ほど説明した通り、骨髄浮腫部への負担軽減がかなり効果的になります。

今回は膝の痛みの原因について軟骨下骨の観点から解説しました。

次回はもう1つの大きな原因となる滑膜について解説します!

また次回!

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