膝離断性骨軟骨炎ってなに??⑤ 〜手術の方法③ 自家骨軟骨柱移植術・自家培養軟骨移植術〜

今回は膝の離断性骨軟骨炎の手術

・自家骨軟骨柱移植術

・自家培養軟骨移植術

の2つ紹介します。

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1.自家骨軟骨柱移植術ってどんな手術??

この手術は

傷んだ軟骨部分に別の部分から取ってきた軟骨を埋め込む

手術の方法になります。

モザイクプラスティ(mosaicplasty)とも呼ばれて広く臨床で用いられています。

上の図の黒丸部分の軟骨が傷んだとします。

この傷んだ部分に別の部分(赤丸)から軟骨を取ってきて埋めるのがこの手術です。

この赤丸のところから図のように柱のように取ります。

イメージはクッキーの型取りのように骨の部分から抜き取ります。

そのため軟骨柱移植と言われています。

1.どの部分から軟骨を採取するのか??

軟骨は主に先ほどの図で示した通り

大腿骨の外側顆から採取します。

大きさは4.5~10mmの骨軟骨柱を15~20mmの長さで採取します。

なぜこの部分が選択されるかというと

非荷重部(体重がかからない部分)の軟骨のため採取した後の

関節の変形リスクが少なく、負担も少ないため水腫(水がたまる)を予防できるからです。

採取する本数は傷んだ軟骨部分の大きさによって変わります。

2.メリット

この治療の最大のメリットは

硝子軟骨を骨とともに損傷部に移植でき

病変部に正常の骨・軟骨下骨を移植できる点がメリットです。

膝関節では先ほどの骨柱の図のように

骨と軟骨の2つの構造になっています。

骨の上に軟骨というツルツルの骨がのっているイメージです。

そのため膝の違う部分から同じ軟骨と骨を取ってくるので

傷んだ部分に正常な骨と軟骨が入ることで良好な治療成績が報告されています。

3.デメリット

デメリットとしては

・軟骨部分に隙間ができてします

・関節の曲率を完全に再現できない

・採取部が多いと痛みや水腫の原因となる

・膝蓋大腿関節症になるリスクがある

などが挙げられる。

円形の軟骨柱のため複数個使用するとどうしても隙間ができてしまいます。

関節は曲率という丸みがありますがこれも完全に元どおり再現は難しいとされています。

そして気をつけないといけないのが採取の部分が多いと

水腫(水がたまる)や痛みが出るということです。

これはこの手術が最初に説明した通り

膝蓋骨(お皿の骨)と大腿骨

の関節の間の体重がかからない部分の軟骨を取ってくるのですが

採取する場所が多いと、荷重部分からも採取することになり

それが原因で痛みや水腫。長期的には膝蓋大腿関節の変形に繋がってしまいます。

4.術後の流れ

術ごは

・0~1週間の固定

・2~4週間の免荷

・6~8週での全荷重

・3ヶ月以降の運動開始

が望ましいとされています。

自家培養軟骨移植術とは??

これは関節鏡視下に軟骨を採取し、体外で培養し

軟骨欠損部分に戻す手術です。

日本でも4cmを超える症例に保険適用になり行われるようになっている治療法です。

1.メリット

メリットは何と言っても先ほどのモザイクプラスティと違い

採取部のデメリットが軽減できます。

また比較的広範囲の関節軟骨損傷に対応可能です。

2.デメリット

デメリットは

・自分の軟骨を採取するため

・培養した軟骨を体内に戻すため

の2回の手術が必要になることです。

また次に述べますが運動復帰までが自家骨軟骨移植に比べて長期になります。

3.手術後の流れ

術ごは

・4週免荷

・全荷重を6週

・ジョギングを6ヶ月以降

・スポーツ復帰は12ヶ月以降

が望ましいとされています。

2.まとめ

今回は膝の離断性骨軟骨炎の手術療法について解説しました。

過去の記事でもご紹介した通り状態によって様々な術式から

最適な治療方法が選択されます。

そしてそれぞれの手術の特徴があることから

術後の進め方も大きく変わってきます。

よく患者さんに

手術したらいつからスポーツ復帰ができますか??

と質問を受けます。

ただ過去の記事でも解説した通り、手術で直接軟骨の状態を確認してから

手術方法を選択する場合もあるためそれが決まっていないと復帰の時期も

厳密には未定ということになります。

ただ全くわからないと言っているわけではありません!!

この方法かこの方法

というのは術前の評価である程度決まっています。

そしてその選手の復帰しなければいけない時期なども考慮し考えていきます。

そのため

もしこの手術ならこのくらい

というふうな情報はお伝えすることができます。

なので疑問点は医療従事者に聞いてもらえればと思います!

では今回はこれで解説を終わります。

また次回!!

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