円板状半月ってなに??② 〜合併症や診断基準〜

今回は前回(円板状半月板ってなに??①)の続きで、

円板状半月について解説していきます。

前回は円板状半月がどのようなものなのかを説明しました。

今回は

・合併症

・診断の基準

について解説したいと思います。

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1.注意すべき合併症

まず円板状半月は外側で生じることがほとんどであると

前回お伝えしたと思います。

そしてこの外側で注意しなければいけない疾患とは

離断性骨軟骨炎です!!

離断性骨軟骨炎についてはまた別の機会に細かく解説したいと思いますが

簡単に説明すると関節の軟骨が剥離する疾患です。

関節の軟骨が骨から剥がれてしまうので、痛みや引っかかり感が生じます。

外側円板状半月でこの離断性骨軟骨炎を合併する割合は

約17%と報告されています。

Takigarni J, et al:Predictive factors for osteochondritis dissecans of the Iateral femoral condvle concurrent with a discoid lateral ineniscus. Knee SLIrg Sports Trallmatd Arthrosc. 26:799-805,2018、

この離断性骨軟骨炎

外側円板状半月の損傷の有無にかかわらず生じるとされています。

またこの円板状半月を手術で全切除や亜全切除した後にも生じるとも報告されています。

このことから

・外側円板状半月の特徴的な組織・形態学的特徴から生じる過剰なストレス

・損傷した円板状半月の異常可動性(半月板が動きすぎる状態)

・円板状半月切除後の荷重分散の急激な変化に伴う過剰なストレス

が離断性骨軟骨炎の発生原因になりうると考えられています。

組織・形態学的な特徴は前回の記事で解説していた特徴から考えられます。

異常可動性は半月板の役割の1つである膝関節を安定させるという働きを

うまく果たせないためにストレスが生じるためと考えられます。

また半月板切除とはその名の通り半月板を切り取ることです!

もともと半月の形だったものが円板のようにできてしまっているので

その部分が原因の場合、手術で半月に戻すように切り取ったりします。

その場合それまで何年も体重がかかってこなかった部分にいきなりクッション材である

半月板がなくなったことでストレスがかかり軟骨が痛むと考えられます。

また一方で損傷した外側円板状半月に合併した離断整骨軟骨炎に対し

手術で円板状半月の形成切除と修復を行うことにより

離断性骨軟骨炎が治癒することも報告されています。

Camathias C, et al:Meniscal suturing versus
screw fixation for treatment of osteochondritis
dissecans: clinicai and magnetic resonarユce
ilnaging results. Arthroscopy.30:1269-1279,
2014.

このことから円板状半月に対して適切な治療法を選択することが重要なことがわかります!

2.症状

外側円板状半月の一般的な症状は

・痛み

・引っかかり

・膝くずれ(いわゆる突然カクっとなる症状)

・水腫(水がたまる)

・弾発膝(ある角度で引っかかり、そこを超えるとかくっと外れてスムーズに動く)

・ロッキング(膝の骨とほねに半月板が挟まり膝が伸ばせなくなる)

・可動域制限(曲げ伸ばしの制限)

がなどがあります!

円板状半月は過去に解説した通り形態的特徴もあり

明らかな損傷がなくても症状が起こることがあります!

また組織学的にも弱いと解説していた通り、正常な半月板と比較して損傷しやすく

明らかな外傷がなくても症状を呈することが多いため注意が必要です!!

・子供の訴え方

子供の場合、大人よりうまく症状を訴えられないことが多いです。

子供がよく言う訴えとして

・ゴキゴキ膝がなる

・膝が曲がらない、伸びない

・歩いたり膝を動かすと痛い

などの訴えで来院されることが多いです。

・高齢者の訴え方

高齢者となってから発症することも稀ではありません。

高齢者の場合、痛みや引っかかり感、水が溜まったなどの症状で受診されることが多いです。

3.診断基準

レントゲンでの確認は

・膝の外側関節裂隙の開大(膝の関節の外側の隙間が広がっている)

・大腿骨外側顆の低形成および平坦化

などが挙げられますが、これだけで確定診断はできません。

確定診断にはMRIが必要です。

MRIで確認しているポイントは

・中節部の横径が外側脛骨関節面の半分以上に及ぶこと

・中節部の半月板が正常半月板と比較して厚い組織であるか

であり、比較的簡単に診断できます。

中節部の横径と厚みは前回の記事で説明した

円板状半月の特徴的な部分である円板状に半月が存在していることを

確認するためのものですね。

またMRIでその変性の有無や逸脱についての診断も可能です。

特に外縁部の損傷による不安定性による外側円板状半月の転位を指標にした

AhnらのMRI分類が臨床的には実用的とされています!

前回紹介したWatanabe分類は形態異常自体を表す

重要な分類とされていますが治療方針の指標にはならなかったのでAhnらの分類はより臨床的です。

Ahnらの分類

  1. Anterior central shift→前中央に転位している
  2. Posterior central shift→後中央に転位している
  3. Central shift→穎間部に転位し、かつ前方あるいは後方に転位していないもの
  4. No shift→転位を認めない

専門用語だらけで難しいですよね・・笑

この辺りは理学療法士の僕たちも診断できないので

医師がしっかりと判断して確定診断してくれます。

4.まとめ

今回は円板状半月の合併症や診断基準について解説しました。

痛みの原因を考える上でとても重要な知識になります。

特に子供さんで何もしてないのに膝が痛がったりパキパキなるといった

訴えをしている際にはこの疾患も頭に入れておかなければいけません!

次回は治療の進め方について解説したいと思います!

ではまた次回!!

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