今回は前回の記事(股関節の付け根が痛い。② 関節唇ってなに??)で
説明した股関節唇を痛めてしまう原因について解説します。
股関節唇損傷の要因とは??
1.臼蓋形成不全
寛骨臼形成不全とは股関節の受け皿となる
骨盤側の骨の屋根が浅いことを言います。
場所は上図の丸の部分です。
左図が骨盤側の骨で受け皿(カップ状)の形をしています。
これが先天性(生まれつき)でこの受け皿の部分が
浅くなっている場合があります。
右図の赤線がそのイメージ図になります。
受け皿側の骨が赤線の通り
大腿骨の骨頭(足の骨側)への被さりが浅い(屋根が浅い)と
骨の端の部分に負担がかかります。
骨の端にはなにがあるか?
そう、関節唇です!
このようなメカニズムで損傷するため
基本的には繰り返しのストレスで損傷リスクが高いです。
臼蓋形成不全の診断は
レントゲンで可能です。
レントゲンで股関節の臼蓋(受け皿)の骨の形を
確認することで診断できます。
2.股関節インピンジメント(FAI)
股関節インピンジメントとは
インピンジ=衝突
なので股関節の骨同士がぶつかる
ことによる損傷を言います。
ちなみにこれを英語でFemoroacetabular impingementと言い、
略語でFAIと医療現場ではいうことが多いです。
FAIは3つのタイプに分類されます。
aのCam type impingementは大腿骨側に起因するものです。
bのPincer typc impingementは寛骨臼側(受け皿側)に起因するもので
cのmixed typeはこの両方の混合型です。
大腿骨頭のくびれが小さかったり、臼蓋(受け皿の骨)の骨のでっぱりがあった場合、
股関節を動かした際に骨同士の衝突を起こし、股関節唇損傷を生じることがあります。
この骨の形状はレントゲンで確認します。
Pincer typeは
・global coverage(全体的な過剰被覆)
・segmental covcragc (部分的な過剰被覆)
に大きく分けられます。
Cam type impingementのレントゲン所見としては
大腿骨頚部外側のくびれが消失するpistol grip deformityが特徴です。
ただ検出率が低いとも言われているので
この所見がみられない場合もあります。
まとめ
今回は股関節唇損傷の要因についてまとめました。
臼蓋形成不全とFAIが臨床でも多くみられます。
どちらもレントゲンで骨形状を見て診断されます。
FAIは骨形状だけで痛みを出しているとは限らないため
この鑑別がとても重要になります。
次回の記事でそのあたりを
もう少し細かく説明したいと思います。
ではまた次回!
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