今回は円板状半月の治療方針について解説します!
1.治療ってどうするの??
まず
断裂がない+無症状→原則として経過観察となります。
一方、症状がある→手術適応となります。
以前は手術は半月板を全切除が主流でしたが
半月板を取ることで術後に体重が膝にかかった時の分散が急激に変化し
離断整骨軟骨炎や関節症を起こしてしまうリスクがあるため
現在は形成的切除(半月板の形を整えるように切除)またさらに
修復を加えることによる半月板の温存が主流です。
そのため以前より比較的良い成績が報告されています。
2.治療を考える際に重要なこと
治療の成績を考える上で
治療に影響を与える手術以外の予後因子として以下のものがあります。
1.年齢
若年者の方が臨床成績が良いとされています。
ただ若年者といってもその基準となる年齢について報告されているものにバラツキがあります。
古賀によると、成長期前(男性は16歳、女性は14歳前後)の手術の方が外側円板状半月の変性が少ないだけでなく
大腿骨外側顆の平坦化や定型性に対する可塑性(かそせい:形を変えやすい)も有していることから
術後の大腿骨外側顆携帯の不適合や外反アライメント(X脚のこと)進行をきたしにくく
術後の逸脱や関節症性変化をきたしにくいとしている。
MB Orthop.33(9):49-57.2020
2.症状の続いている期間
症状が長く続いている円板状半月においては関節軟骨損傷のリスクがあり、
臨床成績を悪化させるとされています。
ただ症状自体がそれぞれの主観的な因子であることから必ずしもそうとは言い難いです。
3.損傷形態
以前の記事で円板状半月には
・完全型
・不完全型
という形の違いがあると解説しました。
この形の違いと損傷と関連に関しては
・完全型の方が軟骨損傷との関連が大きいため成績不良
・両者に差はない
というどちらの報告もあるのが現状です。
一方断裂形態については
変性の強い断裂形態では術前の軟骨変性や術後の関節症性変化をきたしやすいと考えられ
水平断裂が関節症性変化の進行に影響するとした報告もあります。
一方で損傷形態と臨床成績との寒冷性は認められなかったとする報告もあるため
こちらもコンセンサスは得られていないのが現状です。
4.下肢アライメント(下肢の形)
円板状半月の断裂や切除により外反膝変形が進行する可能性があると考えられます。
また外側円板状半月の術後には下肢アライメントが外反へ変化し、アライメント異常と
臨床成績には相関があるとの報告もあります。
以上より
外縁部の変性が少なくhoop機能が保たれている若年者の症例では
通常形成術+必要に応じた温存部の縫合術にて良好な生成が期待できます。
外縁部の変性、逸脱を伴う症例や下肢の外反アライメント(x脚)を認める症例では
外縁部の温存のみでは成績不良になる恐れがあります。
そのため鏡視下セントラリゼーション法を併用したり、外反アライメントを認める
中高年の症例ではさらに大腿骨遠位骨切り術が選択されたりします。
3.まとめ
今回は円板状半月板の治療方針についてまとめました。
半月板のクッション作用がうまく機能しにくいのが円板状半月なので
年齢や機関によって手術の成績が変わることが考えられるのがわかったかと思います。
ただこれもいろんな報告があるため今後も最新の情報を集めることが重要です。
また新たな報告があれば解説したいと思います。
ではまた次回!
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