今回は前回(腰椎椎間板ヘルニア① 〜どんな病気??〜)の続きで
腰椎椎間板ヘルニアの臨床症状について解説します!
1.どんな症状??
腰椎椎間板ヘルニアの症状の多くは
腰痛や足先への放散痛(広がるような痛み)が急性に発症します。
障害神経根領域に沿った知覚障害や痺れ、脱力感を伴うこともあります。
この障害神経根領域とはなんなのか??
下の図の通り、腰の骨(腰椎)の間からは神経が下肢に向かって伸びています。
そしてこの神経がトラブルがあると
その神経の支配する部分の感覚障害が生じます!
下の図が神経支配の分布になります。
例えばL4の神経にヘルニアが触れると
図のL4の矢印が指している通り
下腿の内側〜足背内側に放散痛を感じます。
L5の場合下腿外側〜足背
S1の場合下腿後面
の放散痛を認めることが多いです。
ただ気をつけなけばいけないのが
必ずこのようになると言うわけではなく
放散痛の分布領域は個人差が大きいため
この情報だけで痛めているところの特定にまでは至りません。
そこは注意が必要なところです!!
2.痛みの強さは??
ヘルニアの下肢痛の強さは
- ヘルニアの大きさ
- 局在(どこにできたか)
- 神経根の解剖学的差異
が関係するとされています。
また小さなヘルニアでも下肢痛の強い場合もあります!
以前の記事で紹介した外側型の椎間板ヘルニア(椎間孔や椎間孔外にヘルニアが出る)では
知覚神経細胞がたくさんある後根神経節(DRG)を圧迫することが多く
激しい痛みを生じることがあります!!
この図の赤丸の部分にヘルニアが触れると激しい痛みを起こします!!
3.どこの筋力がおちるのか??
では筋力についてみていきましょう。
神経は
・感覚
・運動
の2つに関係するので筋力にも影響が出ます!
- L4→大腿四頭筋 膝が伸ばしずらい
- L5→前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋 足首を反らしにくい、足の指を反らしにくい
- S1→下腿三頭筋、長母趾屈筋、長腓骨筋 爪先立ちがしにくい、足首を外側に向けにくい
上記が神経根が支配する主な筋肉になります!
ただ先ほどの皮膚の分節と同様で筋肉の支配も個人差があります!!
また1つの筋肉でも複数の神経が関係しているため、筋力だけで障害部位の特定は難しいです!
例えば上に記載しているL5の前脛骨筋は
実際はL4,L5の両方の神経から支配を受けています。
そのため前脛骨筋の力が弱っている=L4の神経が悪いとは言い切れません!!
また末梢の絞扼障害といって脊髄から手足へ伸びる神経がその過程のどこかで圧迫を受けると
その神経の支配する筋肉が障害を受けます!
例えば、前脛骨筋が力が入っておらず足が垂れ下がる状態を
下垂足と呼びます。
前脛骨筋はL5の腰の神経根から支配を受けるのと
末梢の深腓骨神経から支配を受けます。
下の図がその末梢の神経の図です。
この総腓骨神経が赤丸の深腓骨神経と浅腓骨神経に別れて足先まで伸びていきます!
そのため足首が上げずらい場合
・L5の神経根の問題?
・腓骨神経麻痺(この腓骨神経の部分が何らかの理由で麻痺が起こる)
を見分けていきます!
そこで重要になってくるのが
・中殿筋
・後脛骨筋
の2つです!
この2つに筋肉はどちらもL5神経根支配です!
しかし末梢神経は
中殿筋→上殿神経
後脛骨筋→脛骨神経
となっています。
そのため
下垂足+この2つの筋肉の筋力が低下している=L5神経根の問題
下垂足+この筋肉の筋力は問題がない=末梢神経の問題(腓骨神経麻痺)
と言う流れで考えていきます。
中殿筋は横向きに寝た状態で足を上にあげる
後脛骨筋は足首を内側にひねる
ように動かした際の筋力をチェックします!
4.まとめ
今回は
腰椎椎間板ヘルニアの症状について解説しました。
簡単に痺れや筋力低下と言われますが
その場所であったり、痛みの度合いも個々でかなり変わってきます。
それは今回解説した理由のために起こるためです。
次回は脊柱管狭窄症についても詳しく解説したいと思います!
ではまた次回!!
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