今回は前回(頚椎症ってなに??② 症状について)の続きです。
頚椎症には
脊椎症性神経根症と脊椎症性脊髄症があります。
今回は頚椎症性神経根症の症状について説明していきます。
頚椎症性神経根症
前回までのおさらいですが以下の図がそれぞれの場所になります。
このどちらが障害を受けるかで症状が変わります。
これは腰の骨の図ですが頚椎(首の骨)も構造は似ているのでこちらの図で説明します。
この○の部分が神経根になり
この部分にトラブルがあると頚椎症性神経根症になります。
1.初発症状
神経根症は片側の神経根痛で始まることが多いです。
これは神経根痛に特徴的な症状で脊髄症との鑑別に重要な症状です!
神経根痛は
・運動線維の前根
・感覚線維の後根
・両方
の3パターンがある。
前根の刺激では痛めた神経が支配する筋に局所的な筋緊張が生じ、
筋内の感覚神経を刺激するため,筋肉痛のような痛みが生じる。
後根の刺激では神経痛のような刺すような激痛が支配領域に放散する。
この痛みは寝ていても軽快せず、咳,排便時の
いきみなど脊柱管内圧を上昇させるような原因で増強します。
また頚椎の動きで痛みを誘発し頸椎後屈(上を向く動作)や
病変側への側屈(痛みのある方に横に倒す)によって症状が増悪します。
初発症状としては頸部もしくは肩甲骨周囲部の疼痛が多く,神経根のレベルにより痛みの場所はことなり,C5,C6 では肩甲上部と上腕外側のことが多く,C7では肩甲間部・肩甲骨部と上肢後側が,C8では肩甲間部・肩甲骨部と上肢内側が多い。
田中靖久, 国分正一. 頸部神経根症と頸部脊髄症の症候に よる診断. 越智隆弘, 菊地臣一, 編. NEW MOOK 整形外 科 No.6 頸椎症. 東京: 金原出版; 1999. p. 30-38.
また特殊な例としてC7の神経根症状では
片側の大胸筋部に痛みが生じる場合がある。
左側に生じた場合、心臓部の痛みと勘違いされ
狭心症と間違われることがある。
これをcervical angina または pseudo-angina pectorisと呼びます。
神経根症は
・急性に発症する場合
・徐々に発症する場合
の2つがある。
急性に発症する場合は激しい神経根痛がおこり、その後上肢に運動感覚障害が生じる。
緩徐に発症するばあいは頸部や肩甲骨周囲の鈍痛と上肢の放散痛、しびれが徐々に生じる。
2.感覚障害
神経根痛の次に自覚的な痺れが片側の上肢に生じることが多いです。
・C5→肩のやや下側の外側
・C6→親指
・C7→中指
・C8→小指
個人差があるものの概ね上図のように痺れが生じます。
運動障害
前根障害でおこる筋萎縮は必ず限局性です。
C5→三角筋、上腕二頭筋
C6→上腕二頭筋、腕橈骨筋
C7→上腕三頭筋
C8→短母指伸筋、母指内転筋、小指外転筋、総指伸筋、第1背側骨間筋
T1→短母指外転筋
腱反射
腱反射とは診察で行う検査ですが、膝の下を打腱器で叩いて膝がピクッと動くかなど
筋肉の反射を見る検査です。
神経根症状の場合
痛めているレベルでの腱反射は減弱または消失
その他の腱反射は正常
となります。
なのでC5やC6では上腕二頭筋の反射が減弱または消失
C7では上腕三頭筋が
C8の場合左右を比較して手指屈筋反射の低下が見られることがある。
まとめ
今回は
頸椎症のうちの頸椎症性神経根症についてまとめました。
神経根症の場合、症状として痛みから感じることが多いのが
脊髄症との違いになります。
次回は脊髄症の解説を行います。
そちらと比較してみるとより理解できると思います。
ではまた次回!
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