今回も過去のブログの続き(頸椎症ってなに??① 診断の重要性)です。
今回は頸椎症のうち頸椎症性脊髄症についてまとめていきます。
1.初発症状
脊髄症の場合、神経根症と違い
神経根痛をともなわず、上肢の痺れで発症することが多いです。
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神経根痛とは、頚椎症ってなに??③ 頚椎症性神経根症についての
記事の中でも説明した上図のような場所に痛みが生じます。
・両側の症状が同時に始まる
・片側から始まり両側になる
・片側の症状のまま経過する
の3パターンがあります。
またしびれがなく,筋力低下・筋 萎縮が徐々に進行するばあいもあります。
発祥に関しては
・急性に発症
・徐々に発症
のそれぞれがあります。
どちらの場合も神経痛のような痛みは伴わないことがほとんどで
痛みがある場合も肩こり程度です。
2.感覚障害
神経根症の場合単一の神経根を障害することが多いですが、
脊髄症では上肢の感覚障害の範囲がより広くなることが多いです。
脊髄症の場合
C3/4の障害→C5 領域のみでなく上肢全体
C4/5の障害→C6 髄節だけでなく手全体
C5/6の障害→C7髄節だけでなく母指を除く 4 本の指
に感覚障害を認めることが多い。
またC3/4椎間を障害する脊髄症では,後索障害により両手指の深部感覚障害が強く現れることがある.
中島雅士, 平山惠造. 深部感覚障害型頸椎症の病態. 神経進 歩 1993;37:235-244.
そしてpseudoathetosisがみられる。
これは主に脊髄後索病変による「深部感覚障害により手指が不随的にゆっくり動いてしまう」ことです。
ピアノを弾いているような動きのためpiano-playing finger phenomenonとも言われます。
目で見ることによって補正されるので、閉眼すると増強します。
また母指さがし試験で自分の母指の位置がわからないという現象も生じます。
そして脊髄障害が服部 III 型(参考頚椎症ってなに??② 症状について)まで進展すると
体幹下肢の感覚障害が生じてきます。
体幹下肢の表在感覚障害は下肢末梢からみ られることが多いです。
体幹の感覚障害は最も高くても乳頭あたりまでに留まります。
3.運動障害
脊髄の髄節障害で上肢の髄節性の筋力低下、筋萎縮を認める。
この場合の筋萎縮は
・神経根性でみられるような限局性
・多椎間の障害により上肢の比較的広範囲
に認める場合のパターンがある。
服部 II 型へ進展すれば、下肢の痙性麻痺が出現する
4.腱反射
脊髄症では障害髄節レベルの腱反射は低下し、
障害レベルよりも下の腱反射は亢進するのが原則である
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白質(上図の赤の周りの部分)の障害が軽度の場合
下肢の腱反射の亢進がはっきりしない場合があります。
しかしそのばあいも手指屈筋反射は亢進することが多いです。
下肢の腱反射は、服部 II 型に進展した症例では亢進します。
ただし注意が必要なのは頸椎症のように
脊椎(背骨)が変形している方は腰椎も
変形していることがしばしばあります。
その場合だと本来亢進する下肢の反射も
低下していることがあるので注意が必要です。
まとめ
今回は頸椎症性脊髄症についてのまとめでした。
細かいところになるので少し難しい内容ですが
臨床ではとても重要な情報になります。
神経根症か脊髄症か??
をしっかり見分けていきましょう。
ではまた次回!
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