変形性膝関節は何が痛みを引き起こしているのか??
について前回(変形性膝関節症の痛みの原因は??① 〜軟骨下骨の痛み〜)は軟骨下骨について解説しました。
今回はもう1つの痛みの原因となる滑膜について解説したいと思います!
1.膝の痛みは滑膜が関係している
まず滑膜とは??
膝は関節包という袋で覆われています。
関節包は図の通り
・外側の線維膜
・内側の滑膜
とに分けられます。
この部分をもう少し細かくみたのが上の図になります。
線維膜が関節の外側の覆い、滑膜が関節の内側に存在しています。
滑膜では滑液という液が作られ、関節の中を満たしています。
滑膜の働きは
・関節軟骨に滑液を介し栄養を送る
・滑液を満たすことで関節軟骨の摩擦を軽減させる
などの重要な働きがあります。
この滑膜には神経が豊富に存在しています。
そのため滑膜に炎症が生じると痛みが発生します。
これが滑膜炎と呼ばれるものになります。
変形性膝関節症の痛みと滑膜とは深い関わりがあります。
2.滑膜の痛みの機序
ではなぜ変形性膝関節症では滑膜が痛みを出すのかをみていきましょう。
まず変形性膝関節症では膝の関節軟骨が減っていきます。
そして軟骨の摩耗した軟骨の削りカスが滑膜と反応して滑膜炎が生じるのです。
そして滑膜炎が起こってしまうとそれに反応して
炎症性の物質が放出され、また感覚神経の興奮も生じてしまいます。
そのため疼痛閾値が低下し痛みを感じやすくなります。
膝の骨が変形していても
・痛みが出る人
・痛みがない人
のパターンがあります。
この2つの膝の組織の比較で
変形性膝関節症で痛みがある人では滑膜の炎症がが優位に多いと報告され
この因子が痛みの増悪に関与しているとされています!
変形性膝関節症と滑膜炎の痛みの関係ですが
変形の末期より早期の方が炎症性物質の発現が多いという報告があります。
そのため滑膜炎による痛みは
末期より早期の変形においてより強く痛みに影響すると考えられています!
実際に普段外来の患者さんのリハビリをしていても
レントゲンでは変形がかなり進んでいても案外痛みが少ない場合もあれば、
変形がほとんどない膝のレントゲンの患者さんでも痛みの訴えが強いことがあります。
これは先ほどの説明の通り滑膜炎の影響が大きいことが考えられるのです!
3.まとめ
今回は変形性膝関節症と滑膜の痛みの関係を解説しました。
前回の軟骨下骨と今回の滑膜による痛みは変形性膝関節症の痛みを考える上で大変重要になります。
変形しているから痛いのではなく、
・滑膜炎が生じているのか?
・骨髄浮腫があるのか?
・それ以外の原因があるのか?
など原因をきちんと考えると、その治療法も見えてきます!
変形性関節症だからこれをする!というのではなく
きちんと原因を理解し治療していくことが痛みをとるための近道です。
ではまた次回!
コメント