筋性腰痛ってなに・・??① 〜筋筋膜性腰痛とは〜

今回は腰痛の中でも

筋性腰痛について解説します!

過去のブログの記事でも

・腰部脊柱管狭窄症

・腰椎椎間板ヘルニア

などの腰の疾患を説明してきましたが

それらとの違いについても触れていきたいと思います。

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筋性腰痛とは??

腰部を構成する組織として下記のものが考えられる。

・骨(椎体、仙骨、腸骨)

・軟骨(椎間板、椎間関節軟骨、仙腸関節軟骨)

・筋

・腱、靭帯、筋膜

・神経

これらの中で筋肉由来の腰痛が筋性腰痛です!

今回から数回にわたり筋性腰痛の

・考えられる病態

・発生メカニズム

・対処法

について解説していきます。

筋筋膜性腰痛とは?

1.痛みの原因組織

では筋肉に関する腰痛のうち

筋膜由来の腰痛を筋筋膜性腰痛と呼びます!

筋膜は最近テレビでもよく聞くようになりました。

筋膜リリースなども人気ですよね。

では筋膜とはなんなのか??

まず今回のポイントである筋肉の構造について見ていきましょう。

下図が筋肉の模式図になります。

ボディーナビゲーション 〜触ってわかる身体解剖〜 より

筋肉は神経刺激によって伸び縮みする筋実質部

その周囲を区画し各々の筋同士や周囲の組織との

滑走性を保って独立した運動が行えるようにするために結合組織で包まれている。

この結合組織には神経組織が豊富にあります!

すなわち痛みを生じやすい組織です!!

この結合組織に何らかの原因で炎症が生じると

これらの神経組織が反応し痛みに過敏になり

また炎症による線維化により滑走性が低下するとされています。

筋の周囲にはさまざまな結合組織があり

テレビなどでも最近よく取り上げられている筋膜もこの1つです。

筋膜は先ほどの図のように3つに分けられる。

・筋周囲を覆う筋周囲筋膜

・皮下に膜状に薄広く分布する浅筋膜

・より厚く全身に連結し筋組織の緊張を伝達する深筋膜

筋膜の働きとしては

・力伝達

・組織間の滑走性

・痛みや位置情報のセンサー

などの働きがあります。

筋肉の炎症や不活動(筋肉を使わない状態)が生じると、

筋肉は萎縮(筋肉が痩せ細る)します。

そうなると筋肉の周りの筋膜も線維化という現象が生じ、

硬くなってしまいます。

このような線維化した筋膜は

圧痛(押すと痛い)や硬結(コリ)が生じます!

これが筋筋膜性腰痛の原因となると考えられます

また先ほど説明した通り

筋膜には痛みの受容器がたくさんあります。

そのためこの筋膜の痛みは

関連痛としてその場所から離れた場所の痛みとしても現れます!

よくお尻や太ももの痛みを訴えられる患者さんも

実は原因が腰にあったりすることをよく治療していて見かけます。

これは先ほどの通り筋膜のつながりから生じる放散痛が原因の場合が多いです。

MB Orthop.30(8):77-81.2017より引用

上の図が腰にある筋膜、腰背筋膜の図になります!

下の図が同じ部位をわかりやすくカラフルにしたものです。

骨の周りには筋肉や脂肪組織があり

その組織同士の間にこの腰背筋膜が存在します。

この腰背筋膜にも神経組織が豊富に確認されています。

このことから腰背筋膜への刺激は腰痛の発生源になりうると考えられます。

2.痛みの出方

筋筋膜性腰痛の痛みですが、

この痛み!!といった決まったパターンがありません。

・脊柱管狭窄症は一般的に背中を反らすと痛い

・腰椎椎間板ヘルニアは前かがみ姿勢で痛い

など特徴的な痛みのパターンがあるのですが、

この筋筋膜性腰痛の場合それがないことが多いです。

痛みの訴え方ですが

・前かがみしていく途中で痛い

・腰を反らせると痛い

・長時間座っていると痛い

などなどいろんなパターンがあります。

3.診断の仕方

ではどのようにしてこの疾患かどうかを判断しているのか??

まず先ほど挙げたような

脊柱管狭窄症

椎間板ヘルニア

分離症

などの腰の疾患かどうかを確認します。

脊柱管狭窄症やヘルニアは

レントゲンやMRIの画像所見を用いたり

ヘルニアであればSLRテスト(仰向けで膝を伸ばした状態で足を上げていき痺れや痛みが出るか)

分離症はケンプテスト(斜め後ろに腰を反らせ痛みが出るか)などの

疾患別テストを行い判断します。

これらの疾患との鑑別を行い

どの疾患にも当てはまらない場合筋筋膜性腰痛を疑います。

押した痛みは脊柱起立筋(背骨の真横にある筋肉)に感じることが多いです。

MRIを撮影するとこの脊柱起立筋の周囲の腰背筋膜の反応を認めることもあります。

ただ必ずMRIでわかるというわけではなく

痛みの具合によりMRIに異常がないこともあります。

3.痛みの発生機序

背筋の筋肉の繰り返しの負荷によって

これらの筋肉に疲労が生じます。

この状態が長期間続くと筋肉の炎症が生じます。

筋肉は先ほどの図の通り腰背筋膜によって

それぞれの筋肉が部屋分けされています。

筋肉の炎症によって腫れる

筋膜に囲まれた部分の内圧が上がる

     ↓

筋膜への刺激となり鈍痛や違和感が生じる!

痛みの発生機序はこのように考えられています。

また高齢者などで圧迫骨折などをされた方は

骨が前かがみ方向に変形していることがよくあります。

その場合も常に背中の筋肉の負担になるため

筋膜への負担が増え痛みが生じる原因になります。

まとめ

今回は筋性腰痛のうちの1つ

筋膜が関係する腰痛である

筋筋膜性腰痛について解説しました。

この疾患自体は小学生の子供〜高齢者までの幅広い年代の方にみられます。

筋肉自体への負担が原因になって生じることが考えられます。

そのためにいかに筋肉への負担を減らすのかがポイントになります。

・姿勢が悪い

・筋力が弱い

・身体が硬い

・身体の使い方が悪い

などなどそれぞれ原因が異なります。

なので人によって治療方法も変わってくるので

しっかりとチェックした上でリハビリすることが

治すための1番の近道になります!!

ここが理学療法士の腕の見せ所でもあります!

次回も別の筋性腰痛について解説します。

ではまた次回!!

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