腰椎分離症ってスポーツしていいの? 治療方針とは??

今回は腰椎分離症の治療方針について解説したいと思います。

腰椎分離症ではスポーツや体育を休んでください!と言われることが多いです。

それがなぜなのか?

いつまで休まないといけないのか?

を解説していきます。

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1.治療はどのように進めていくの?

腰椎分離症の病期は

・初期

・進行期

・終末期

があると以前解説しました(腰椎分離症ってどんな怪我??)。

そして分離症は疲労骨折であるとお伝えしました。

分離症は骨折になります!

なかなか名前だけではわからないので患者さんに疲労骨折です!と説明した時にびっくりされる方が多いです。

そのため治療方針は疲労骨折部分の骨をくっつける(癒合)させることを第一に考えて進めます!

2.分離症は段階によって進め方が大きく変わる!

では病期によってどのように進めていくのか?

初期、進行期の最終目標→骨をくっつける

終末期の最終目標→骨はくっつかないため痛みなくスポーツ復帰できるように

といった流れで考えていきます。

SakaiらはMRIとCTの所見の組み合わせにより病期を分類し、保存治療(硬性装具療法,運動完全休止)に期待できる骨癒合率は、

MRIにて関節突起間部に骨髄浮腫が認められCTの分類で超初期は100%,初期で93.8%,そして進行期では80%と報告している。

Sakai T, et al:Conservative treatment for bony healing in pediatric luinbar spondylolysis. Spine (Phila Pa l 976)42:e716-e720,2017

簡単に言うと

分離症の初期は骨折部分の治る可能性が90%以上あり、

進行期では少し下がって80%程度になるということです!

ただこれは運動を休止し装具(硬い物)をしっかり装着した場合です。

運動をしたり、装具をつけないとどうしても骨折部に負担がかかり

骨が治らないこともあります。

そのため初期、進行期はしっかりと装具の着用と負担のかかる動作を控えることが

その後の治療成績に大きく影響してきます。

終末期の場合は偽関節という状態になっており骨癒合は期待できないとされています。

そのため骨の治療を進める初期、進行期とは違い、骨折部の痛みを抑え再発しないようにすることが治療目標になります。

a.初期の治療

初期の場合は骨の治る(骨癒合)可能性が高いです!

そのため装具着用し運動療法(リハビリ)を行います。

b.進行期の治療

進行期は初期に比べると骨癒合率が低くなります。

そのため装具療法と運動療法(リハビリ)を行いますが、

運動療法はストレッチやドローインなどの腹部の等尺性訓練など負荷を軽減したものを行います。

c.終末期の治療

終末期は痛みのコントロールが目標になります。

痛みが強い場合は一旦運動の強度を落とすか休止を行い

痛みが軽減してきた場合随時スポーツを再開していきます。

終末期で重要になるのは段階的にスポーツに復帰していくことです!

段階的と言うのはどう言うことか?

走る動作で例えるならば

ジョギング10分→50%で程度で10分→70−80%でダッシュ→制限なし

のようにいきなり全力で走るのではなく、様子を見ながら負荷を高めていくことが重要になります。

段階的に行うことでもし痛みが出たとしても、急激な負荷にはならず症状の重症化を防ぐことができます。

またその痛みの出た動作を確認できるためその動きで痛みが出た原因を考え修正することが可能になります。

そのため段階的にプログラムを組んでいくことが大事になります。

3.いつからスポーツしていいのか??

ではどのくらいの期間から運動できるのか?

運動は一般的に3ヶ月以降になります!!

ではなぜ3ヶ月かかるのか?

怪我からの経過ごとにどんなことをするのかを解説します。

a.装具を装着してから3週間

この時期は骨折部の炎症で安静にしていても痛みが出ることが多いです。

そのため

・運動は休止

・ストレッチなどで柔軟性改善

が中心になります。

また腰椎の負担を減らすための体幹トレーニングも痛みのない範囲で行います。

b.3週間を過ぎて積極的にリハビリを行う場合

3週間を過ぎると日常生活での痛みはかなり治まっていることが多いです。

・分離症の初期の場合は骨癒合率が高いため、痛みが軽減or消失していた場合積極的に運動療法をおこなっていきます。

・進行期の場合は骨癒合率が低いため骨にストレスをできるだけかけたくないためストレッチなどが中心になることが多いです。

c.2〜3ヶ月経過し痛みが消失した場合

2〜3ヶ月装具を装着し痛みが消失している場合、MRIをもう一度撮ります。

MRIで骨髄浮腫(骨の周囲が出血していないか)の確認を行います。

もし骨髄浮腫の消失が認められていたらCTにより骨の癒合傾向または骨癒合の確認を行います。

骨癒合が確認されたら硬い装具→スポーツ用装具に変更し、スポーツ活動を段階的に再開していきます。

骨癒合(骨がくっつく)にはどうしても3ヶ月程度は時間が必要になります!

そのため分離症で治る見込みがある場合は3ヶ月運動を休んでください。

と言うふうに診察で説明されます。

そして3ヶ月経過したからといっていきなり復帰すると再び骨折するリスクが高いです。

腰椎分離症の再発は20%あるとされています!

そのため段階的に負荷を高めていき、骨の再骨折が生じないようにしていきます。

4.まとめ

今回は腰椎分離症の治療方針について解説しました。

スポーツ復帰に関して言えば3ヶ月以降になることが多いです。

ただこの期間の間、何もしないのではなく分離症の原因となった部分をしっかりと修正していきます。

原因が

・筋力なのか

・柔軟性なのか

・体の使い方なのか

このあたりをしっかりとリハビリでチェックし修正していくことがこの3ヶ月の課題になります。

初期や進行期の分離症の場合、痛みは1ヶ月しないうちにかなり軽減されます。

そして痛くなくなったからスポーツを再開してしまうと分離症が進行してしまい

最悪の場合終末期の分離症となり骨がくっつかない状態になります。

そのため痛みだけで治療を考えていくのではないことを患者さんにしっかり理解してもらうことが完治のために重要になります!!

次回は分離症のリハビリについて解説していきたいと思います。

ではまた次回!

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