膝の腫れがひかないのはなぜ・・・??

前回は急に膝が腫れてきた場合について(急に膝全体が痛い!! 急性関節炎とは?)解説しました。

今回は『膝の腫れがなかなかひかない』原因について解説していきたいと思います。

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1.膝の腫れがなかなかひかない原因とは??

急性関節炎の症状が改善しても、膝の腫れっぽさがずっと残っていることがあります。

これは慢性関節炎の症状です。

急性関節炎のような痛みが改善し水腫がひいても

・熱っぽさ

・関節周りの腫れ

がある状態が慢性関節炎の主な症状とされています。

この状態が長い期間続くと急激に関節軟骨の摩耗が進みます!!

どのような人に多いのかというと変形性膝関節症の所見がレントゲンで認められる方に起こりやすいです。

変形性膝関節症では軟骨に過剰な負担や小外傷により軟骨がすり減り摩耗していきます。

その摩耗粉(軟骨の削りカス)に反応して炎症が生じ腫れてしまいます。

またその人の炎症素因も関係するとされています。

shellam J,Berenbaum F.The role of synovitis in pathophysiology and clinical symptoms of osteoarthritis.Nat Rev Rheumatol 2010;6:625-35より引用

正常な膝関節では軟骨の厚さは2~5mm程度とされています。

この軟骨が少しずつすり減ってしまうのです。

そのため変形性膝関節症のレントゲンでは膝の関節の隙間は狭くなっています。

2.慢性関節炎の症状を抑えるためにはどうするの?

まずは炎症を抑えるために

・服薬

・注射

が用いられます。

注射はヒアルロン酸注射とステロイド注射があります!

ヒアルロン酸注射は関節の動きを滑らかにするために行います。

元々ツルツルだった軟骨の骨が摩耗でギザギザになっています。

その表面に油を塗って関節の摩擦を減らし炎症を抑えたり痛みを緩和させたりする狙いがあります。

ステロイド注射は抗炎症と鎮痛作用に優れた治療法とされています。

炎症があり痛みが強い時期に痛みを抑えるために使用されます。

ただし複数回ステロイド注射を行うと軟骨の新陳代謝を悪化させるとも言われています。

そのため使う頻度やタイミングをドクターは判断し治療に用います。

また慢性関節炎の症状になる方は『腫れていても使ってしまう』ような方に多い印象です。

これは前回(急に膝全体が痛い!! 急性関節炎とは?)の際にも解説しましたが、腫れを引かすためには

活動量のコントロールが重要になります。

ただ

・仕事が忙しい

・通勤で歩かなければいけない

・立ち時間が多い

などなど様々な理由でどうしても活動量のコントロールがきかない場合も多いです。

そうなるとなかなか組織の治す力が組織の痛むスピードを上回らないため

軽度の痛みや腫れが長期間続きやすいような症状になることが多いです。

3.安静にしていても腫れぼったいのはなぜ??

安静にしていても腫れひかない場合は他に原因がないか??を考えます。

・リウマチなどの免疫系の疾患

・痛風や偽痛風

・化膿性関節

など他の腫れが生じる疾患がないかを考えます。

安静にしていても全然治らない場合は整形外科医の先生に原因を相談してみると良いかと思います。

ただ外来のリハビリで話を聞いていて感じる原因としてはやはり使いすぎていることが多いように感じます。

・階段を昇り降りする

・しゃがむ

・正座する

などの動きは歩く時より一瞬ですが数倍の負担が膝にかかります

よく話で聞くのは

『歩かないようにしています、正座の練習を頑張ってます』

『歩かない代わりに、階段を頑張って使ってます』

『家の家事でしゃがみました』

など意外とこれらの歩くより負担のかかる動作を何回も行なっている場合が多いです。

そのため歩くことだけでなく、膝に負担がかかる動作全般的に控えるように意識することも重要になります。

あれもこれもダメにするのではなく

しゃがむ→椅子を使う

床から立ち上がる→ベッドを使う

などひと工夫するだけで膝の負担は格段に下がります!

4.まとめ

今回は慢性の関節炎症状について解説しました。

変形性関節症が原因の場合やそれ以外が原因になる場合とどちらも考えられます。

その時の症状に合わせた治療が重要になるので、経過的に膝の痛みや腫れがどのように変化しているのかを

整形外科医やリハビリスタッフと相談しながらより良い治療を見つけいくことが大切になります。

ではまた次回!

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