腰部脊柱管狭窄症ってどんな病気??② 〜どんな症状?ヘルニアとの違いは??〜

今回は前回(腰部脊柱管狭窄症ってどんな病気?? 〜なぜ脊柱管が狭くなるの??〜)の続きです。

今回は腰部脊柱管狭窄症の症状について解説していきます!

腰椎椎間板ヘルニアでも似たような症状も出ますが

それとの違いも知ってもらえればと思います!

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1.臨床症状

症状は前回の記事で解説した圧迫される場所の違いによって異なります!

以下の3つに分類されます。

・脊柱管正中部で馬尾が圧迫される馬尾型

・椎間孔の神経根部で圧迫される神経根型

・その両方が混合する混合型

まず脊柱の正中(真ん中)が圧迫されるパターンと

椎間孔が圧迫されるパターンですが

これは以前の記事(頚椎症ってなに??② 症状について)で

脊髄症と神経根症で解説したものと似ています!

ただ腰椎の場合

この脊髄が馬尾に変わります!!

馬尾とは図の赤丸部分のように

脊髄の神経のまとまりが腰の骨の上部で終わり

赤丸の部分は神経が馬の尻尾のように束になって下降しています!

そのため腰椎の下方では脊髄ではなく馬尾と呼ばれます!

この馬尾の圧迫された神経の領域に痛みや痺れが生じます。

また馬尾症状としては

・会陰部、肛門部の異常感覚

・尿意切迫

・失禁

などの症状も認められます。

これは以前の記事でも説明しましたが

神経が支配する感覚分布は大まかにですが上図のように決まっています!

ここで会陰部や肛門周囲の感覚はS1〜S5があります。

このSというのはsacral nerve(仙骨神経)の頭文字のSです。

そのため仙骨神経が圧迫を受けるとこの辺りの症状が生じます!

神経根型は圧迫を受けた神経の支配する領域に痛みや痺れが生じます。

2.最も特徴的な症状

症状として最も特徴的なものとして

間欠跛行(かんけつはこう)があります!!

以前の記事(脊柱管狭窄症ってなに・・??)でも解説した通り

背中を反る→脊柱管が狭くなる→痺れや痛みが出る

ということでした。

腰部脊柱管狭窄症の患者さんで多いのは

長く歩くと下肢の痛みや痺れ、脱力感が出てきて休憩が必要になる

という訴えが多いです。

これを神経性間欠跛行と言います!

前かがみになると症状は軽快し歩行が可能となります。

また馬尾性間欠跛行では下肢、臀部、会陰部の異常感覚を

特徴とする多根性(複数の神経根が圧迫される)障害が認められます。

重症例では歩行継続で

・尿意切迫

・失禁

・肛門部の熱感

などが認められる場合もあります。

神経根性間欠跛行→下肢、臀部の痛みが特徴

また椎間孔狭窄に特徴的な症状として

・歩き始めから足を接地する場面で痛みが出現する

・動作の開始時に痛みが出る

・安静時下肢痛や座位での激痛

などがあります。

ヘルニアの場合はこの間欠跛行はあまり特徴的でなく

むしろ前屈した場合は狭窄症のように軽快するというより

椎間板に負荷がかかってしまうため症状が増悪します!!

その辺りが違いがあります!!

3.知っておかないといけない循環器疾患

ここで重要なのが

。下肢が痺れる

・間欠跛行がある

から腰部脊柱管狭窄症である!!と考えてはいけないということです!!

ここで同様の症状が出る疾患として鑑別すべき重要なものは

閉塞性動脈硬化症などの末梢動脈疾患です!

神経は血液から栄養をもらっています。

この血液の流れが悪い(閉塞している)と神経に栄養がいかず

痛みや痺れが生じてきます。

また歩行などの運動では体のいろんな部分に血液が必要になり

もともと下肢の血流が悪い人は余計に血液が流れずらくなり

痺れや痛みなどの症状が増します!

これを血管性間欠跛行と言います。

神経性跛行と血管性跛行の鑑別方法ですが

神経性

・前屈で症状が軽快

・歩行は症状が出るが自転車はマシ

血管性

・姿勢に影響されず前屈でも改善されない

・歩行、自転車負荷のどちらでも下肢症状が出現する

また足背動脈(足の背面の動脈)の脈が取りずらい場合や

足関節/上腕血圧比(ABPI)が有用でこれが0.9未満の場合は

末梢動脈疾患を疑います!

この疾患ときちんと鑑別することがとても重要になります!

4.まとめ

今回は腰部脊柱管狭窄症の症状について解説しました。

痛みが出る場合や尿意に影響が出る場合など

同じ名前の疾患でも症状の出方が多岐にわたるため

いろんな知識が必要になると思います。

また循環器の疾患も考える上で重要となります。

皆さんも是非参考にしてみてください!

ではまた次回!

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