今回は腰椎分離症と胸椎の動きの関係性について解説します。
1.胸椎が硬いと分離症のリスクあり!
まず胸椎というのは名前の通り胸の骨のことを言います。
腰椎分離症のリスクは以前の記事で(腰椎分離症ってどんな怪我??)解説した通り
・腰をそる
・腰をひねる
動作が原因になります。
ではなぜ胸椎が硬いと分離症になるのか??
それは分離症の場合多くの人は
・胸椎伸展
・胸椎回旋
の動きがかなり悪いからです。
胸椎伸展とは胸椎の部分をそらせる動きです。
胸椎回旋とは胸椎をひねる動きのことを言います。
腰椎分離症は
・腰椎の伸展
・腰椎の回旋
の動きがリスクになるとお伝えしました。
胸椎の伸展、回旋の動きが硬い場合その動きをどこが代わりに行うのか?
それが腰椎になるのです。
腰椎と胸椎は同じ背骨になりますので、胸椎が硬くて動かない場合は腰椎で代償することになるのです。
そのため胸椎の伸展、回旋が必要になる動きの繰り返しが腰椎へのストレスを増加させ
最終的には分離症につながってしまうのです!
野球のバッティングや投球、バレーボールなどのスパイク動作ではこの胸椎の動きがとても重要になります。
特に股関節+胸椎の回旋は重要です。
良い例では股関節の回旋と胸椎の回旋が行えていますが
バッティングでは回旋の動きが必須になります。
悪い例では股関節がまずうまく回旋できていないです(骨盤が回りきっていない)。
また胸椎も猫背でうまく回旋がつかえていない状態です。
この状態で無理にバットを振り切ると股関節、胸椎の回旋を補うために
腰椎の回旋が生じてしまいます!!
そこにこの図のようにバットの重さに負けて反り返ってしまうと
腰椎の伸展+回旋
という分離症で一番ダメな動きが生じてしまいます。
また投球の動作でも胸椎は重要な働きをしています。
図のように胸椎の伸展が行えていると全体的に背骨がしなり背骨の負担を減らします。
しかし胸椎が丸い(猫背)の状態では胸椎の伸展が行えず、その分を腰椎が伸展してしまいます!
イメージとして釣り竿がしなるイメージが良いです。
釣り竿も全体的にしなるおかげで折れず魚を引き上げられますが、あのしなりの動きを一箇所だけで行うとどうなるか??
それはすぐに折れてしまいます。
人間の体でも同様で、一箇所にストレスをかけ続けると折れてしまいます。
これが分離症の原因になるのです。
2.分離症で重要な胸椎のストレッチ方法
では胸椎のストレッチ方法をご紹介します。
a.胸椎伸展のストレッチ
胸椎伸展のストレッチ方法をご紹介します。
- うつ伏せになる
- 肘で床を押しながら頚椎→胸椎の順に少しずつ背骨を伸ばしていく
ポイントは胸椎の伸展を意識することです!!
この動きを指導するときのエラー動作として腰や首が反りかえってしまう人が多くいます。
先ほどの図でおさらいですが背骨は首から腰にかけて複数の小さな骨が積み重なっています。
このイメージを頭に入れながら頸部の骨から1つずつ反らせていくことが重要になります。
また腰が反りやすい運動ですので腹筋に力を入れるようにしてみましょう!
そうすれば腰がそる動きを止めることができます。
では先ほどの運動の応用的な方法をご紹介します。
- 四つ這いで背中をまっすぐにする
- お臍を覗くように背骨を丸める。
- この動作を20回繰り返す
ポイントは
・背骨を丸める際、骨盤をしっかりまるめる(骨盤を後傾させる)
・丸めた状態からもどす際にしっかり胸を張る
ことです。
まず骨盤の動きと腰椎の動きは連動しています。
そのため骨盤が図のように丸められると、骨盤の動きと連動して腰椎も丸められます。
分離症の場合反り腰が多く、背中の筋肉が硬くなっていることが多いです。
そのため腰椎部分が丸められない人もいます。
腰を丸めるのがうまくいかない場合は、今回のように骨盤を後傾させることに集中しましょう。
そうすると腰椎もうまく丸めることができます。
もう1つのポイントである胸を張る動作が胸椎伸展動作です!
なぜ丸めた状態か胸を張るのが効果的かというと、分離症の場合胸椎伸展の動作を腰椎伸展で代償しやすいです。
そのため胸を張って!というと胸椎部分ではなく腰椎の部分を反らせてしまうパターンが多くみられます。
そうすると分離症を進行させてしまうのです。
そのため一度わざと丸めた状態を作りそこから胸を張らせると胸椎伸展の動きがうまくだせます!
どちらのポイントも横に鏡を置き自分で確認しながら行うことがおすすめです!
自分では丸まっているつもりでも骨盤や腰椎の部分が全く動いてなかったり
胸椎の部分を進展させることがうまくいかず丸まったままのことが多いので
鏡をみながら行うとそのことに気づけるため大変おすすめです!
b.胸椎回旋のストレッチ
次は胸椎回旋のストレッチの紹介です。
- 横むけになり上側の股関節を90°に曲げる
- 上側の肩甲骨を床に近づけるように体をひらく
このストレッチは胸椎の回旋のために行います!
そのため曲げた股関節側の膝が体の回旋の動きで浮かないように注意しましょう。
目標は肩甲骨が床につくことです!
猫背の人は胸の筋肉(大胸筋など)が硬くなっておりなかなか床につかないと思います。
反動をつけずゆっくり行なっていきましょう!
もう1つのストレッチの方法をご紹介します。
- 四つ這いの状態から片手を頭の後ろに置く
- 胸を開きながら肘を天井方向に向けていく
注意するポイントとして骨盤の位置が重要になってきます。
図のように肘を上に向けていく際に体が傾かないように注意しましょう。
体が傾くと胸椎の回旋がうまく行えていないことになります。
骨盤の位置と背骨をまっすぐにした状態で可能な限り肘を天井に向けると胸椎の回旋がうまく行えます。
3.まとめ
今回は腰椎分離症と胸椎との関係についてまとめました。
前回の記事の股関節と今回紹介した胸椎はそれぞれ腰椎の上下に位置する関節になります。
そのためこれらの関節の動きが悪い場合、隣接する腰椎で動きをカバーしようとしてしまい
過剰なストレスが腰椎に生じてしまいます。
そのため股関節と胸椎の柔軟性は大変重要になってきます。
分離症の初期は癒合率が90%あるため(以前の記事参考に腰椎分離症ってどんな怪我??)
骨癒合(骨をくっつける)させなければいけません。
そのためには骨癒合を妨げる原因となる胸椎や股関節の柔軟性の改善が大切になります。
逆にいうとこのあたりが改善されないまま、スポーツに復帰してしまうと
分離症を再発してしまうリスクがかなり高い状態になります。
なので今回の胸椎の動きを含め分離症の原因をしっかり改善させ
スポーツ復帰していくことが治療において重要な点になります。
ぜひしっかりと体の可動域を戻してスポーツ復帰していきましょう!
ではまた次回!
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