今回は前回に続きかかとの痛みについて解説します!
前回は骨や筋関連の痛みについて紹介しましたが
今回は神経関連の痛みについて解説したいと思います!
1.神経からくるかかとの痛いとは・・??
まずは前回も紹介したこの図を見てみましょう。
前回(踵が痛い! 〜かかとの痛みの原因①〜)は
1〜4までの痛みについて解説しました。
今回は5の痛みである
足根管症候群について説明します!
2.足根菅症候群とは??
a.足根骨とは何か?
この図は左足首の図です。
そしてこの赤丸の部分を足根菅です!
内くるぶしの後ろ側には動脈、静脈、神経が一緒に走っています!
そして上から屈筋支帯という帯状の膜で抑えられています。
骨とこの膜で作られる狭いトンネル状の管を足根管と呼びます。
b.足根管症候群とは?
足根管症候群とは、この足根管の中を通る脛骨神経が
何らかの理由で圧迫を受けることにより痛みやシビレが生じます。
脛骨神経は上の図のように
・内側足底神経
・外側足底神経
・内側踵骨神経
に分かれます。
足根管の中でどの神経が圧迫を受けるかによって症状も変わります。
c.原因
捻挫や骨折などの外傷、ガングリオン、静脈瘤、動脈硬化した動脈などの
圧迫によって起こる事もあります。
しかし全く原因が特定できない場合も見られます。
d.痛みの部位
内くるぶしの後ろあたりから踵底部にかけて鈍痛を認めます。
歩き始めの症状は軽度で長時間の立位や歩行で痛みが悪化します。
痛みは圧迫された神経によって場所が変化します。
①内側足底神経→足底部の内側から母趾
②外側足底神経→足底外側
③内側踵骨枝→踵部内側から足底
実際の訴えで多いのは足根管、足底の痛みの訴えで
来院される方が多いです。
e.治療方法
治療は保存療法をまず行います。
・非ステロイド系抗炎症剤(よく知られている薬だとロキソニンなど)
・ビタミンB製剤(神経の修復に関与するため)
・運動療法(ストレッチや筋力強化)
・インソール
ただ
・外傷による足部の変形が強い
・ガングリオンができている
などで脛骨神経が圧迫されている場合は手術を検討します。
手術は足根管の部分を切離する開放術によって脛骨神経部の減圧を図ります。
3.どんなリハビリをするの??
リハビリで実際どのような対応をしているのかをご紹介します!
足根管の中は脛骨神経が通り、そこからさらに3つの神経に分岐すると説明しました。
そのためどの痛みや症状に対しても脛骨神経への負担を軽減することが重要です!
神経へ負担をかけることとして
・伸長(伸ばされる)
・圧迫(押しつぶされる)
があります。
それぞれの対応方法を紹介します!
a.脛骨神経への伸長ストレスを減らす
では脛骨神経がどのような場合伸長(伸ばされる)されてしまうのか?
まずもう一度脛骨神経の通り道を見てみましょう。
膝裏→内くるぶしの裏→足の裏へと通っています。
この神経が伸長されるのは
図の矢印の方向に動かした時です!
これは足の裏を外側に向けるような動きです。
しかし実際このような動きがどんな時に生じるのか??
それは足の土踏まず(内側アーチ)が潰れた時です!!
土踏まずが潰れると足の内側が沈み込みます。
そのため上図のような動きが生じて脛骨神経が伸ばされます!
実際の例で見てみましょう。
以前の足底腱膜炎の解説でもありましたが
股関節を内股にして歩くまたは走る動きをすると
土踏まずを潰す方向にストレスがかかります!
そのため動きとしてはこのような動きを修正し
神経へのストレスを減らすようにしていきます!
また扁平足の場合もともとが土踏まずがない状態です。
ただ土踏まずがない=シビレがでるというわけではもちろんありません!!
しかし
・急に運動量が増えた
・体重が増えた
など今までと体にかかる負担に変化がありシビレが生じている場合は
インソール(靴敷)を入れます。
一般的に土踏まずを持ち上げるような物を作成します。
あとは個別にどの部分を、どのくらいの高さ持ち上げるかを
評価しながら作成します。
b.脛骨神経の圧迫を減らす
脛骨神経が足根菅の中で圧迫されるとしびれや痛みが生じるため
その圧迫を減らしていきます。
どのように減らすかというと
筋肉の動きを改善させていきます!
足根管を通る筋肉には上図の丸の部分である
・後脛骨筋の腱
・長趾屈筋の腱
・長母趾屈筋の腱
が通ります!
この筋肉たちの動きが悪いと
同じ足根菅というトンネルを通る脛骨神経の動きが悪くなり
足根管内での圧ストレスが増加してしまいます!
そのためこの筋肉の動きを促していくことが重要です!
筋肉の動かし方です!
まず足根管周囲を触る際は解剖の知識が重要です!!
この左側の図をよく確認してみましょう!
- 内くるぶしの真後ろに後脛骨筋
- その後ろに長趾屈筋
- その後ろに後脛骨動脈、静脈、神経
- その後ろに長母趾屈筋
という形で並んでいます!
このイメージができればしっかり触れることができます!!
まず後脛骨筋は以前の記事(足底腱膜炎で鍛えるべき筋肉とは??②)で
触り方について解説しましたのでそちらの記事を参考にしてください!
長趾屈筋の触れ方です。
- 内くるぶしの後ろ側で脈の拍動(ドクドク感)を探し後脛骨動脈をマーク
- その少し前の部分にある腱が長趾屈筋の腱です!
足の親指以外を素早く反らせると腱がぴくぴくと動きわかりやすくなります!
長母趾屈筋の場合は
- 後脛骨動脈をマーク
- その少し後ろにある腱部分を触れる(長母趾屈筋腱)
こちらの場合親指をそらせばがら触れるとわかりやすいです!
まずはこの足根管周囲の腱の動き(滑走)を促すことが重要です!
足がむくみやすい人や捻挫の後で足が腫れていた人は
この辺りが癒着といってくっついてしまっていることが多々あります。
そのため筋肉の動きが滑らかに行えず神経に負担がかかり痛みやしびれを生じさせます。
実際のリハビリではこの腱の部分からさらに筋肉の部分まで
しっかり動きを出していくとさらに良くなります。
その辺りはもうしこし専門的な話なので
また今後解説していきたいと思います!
4.まとめ
今回は足根管症候群について解説しました。
あまり聞きなれない疾患の名前ですが、踵周囲の痛みでは
考慮しないといけない重要な疾患になります。
他の痛みとは少し違いがあるのでその辺りをしっかり鑑別しながら
治療していくことが痛みを取るために大切になってきます。
ではまた次回!
コメント